最近、人間はますます感性が鈍くなってきているように思えます。生命が何より
大事などと言いながらも、生命が何であるかを理解している人間は極めて稀です。
すべては自分中心、人間が最上位、数字で表される利益、結果のみを最優先して
人も社会も動く、こうした人間世界はもう長くはもちません。すでに破綻は始ま
っています。ストーカーを始め、凶悪な犯罪も増えていますが、常に自分のこと
しか考えられない人間はこうした犯罪行為に走る傾向があります。人の心のみな
らず、動植物、生きとし生けるものを思いやる優しい心を持った人は感性が豊か
で度量の大きい人間です。人生を勝ち負けや、損得だけでとらえて、劣等感をも
ったり、優越感を持つことは愚かなことです。この世間というものの、作られた
偽りの価値観から離れて宇宙全体を見渡すのです。子供のときには誰でも感性が
豊かで、何にもとらわれず、自由で純粋です。そのような心をもう一度とり戻し
たいものです。芸術は理論ではありません。人の感性に直接響いて、心を光へと
導くものです。バレエや音楽を特別なことととらえずに日常的に自分の生活に取
り入れることで、ひとりひとりの人生は豊かな光り輝くものへと変わっていきま
す。そして多くの人の心に光が当たるようになれば、それは人間世界全体を闇か
ら高次元の世界へと変えていくことに発展していくのです。