バレエの訓練といえば、どうしても足のほうに重きがおかれがちです。バレエにおいては
脚は外旋したうえでつま先まで伸ばして使いますから、日常では全く行われない使い方が
されます。踊るときには、意識しなくても、自然にバレエの使い方が出来る脚になっていな
ければなりませんから、そういう脚を作るための大変な訓練が必要となります。一方、腕や
手は、人間の身体の中でもともとが器用に動く様にできていますから、動かすだけなら誰でも
比較的に簡単に動かせるともいえます。しかしながら、バレエにおいては腕も脚同様、動かす
筋肉が決まっています。それ以外の筋肉は使わないで動かすことは、器用に動かせるがゆえ
に、脚以上に難しいことだともいえます。腕は背中や肩の筋肉とつながっていますから、正し
い腕の使い方をすれば、首筋や肩、背中のラインもバレエダンサー特有のものになっていき
ます。むしろ肩のラインや腕の筋肉の使い方で本物のバレエの技術が身についているか否か
がわかるといってもよいのです。