バレエにおいては、足を外に向けて立つことが基本です。なぜ普通の姿勢ではだめなのでしょう?
まず解剖学的には、足先をまっすぐ前にむけた姿勢で脚を前後左右に持上げようとしても、わずか
しか動かせません。ところが、この「turn out」の姿勢で立つと、脚の関節は自由に動きます。脚の
付け根の関節は普通の姿勢で脚を横に上げると、大腿骨頸は関節窩にぶつかって、それ以上動かす
ことはできません。しかし脚を外旋すると、大腿骨頸がひっこんで、関節窩のふちが大腿骨頸の側面
とあいます。そのため脚は90度から135度まで上がるようになります。また脚を外旋させるために、
またそれを維持するための訓練を繰返すことで、足腰を始めとする全身の筋肉を調整、強化し、身体の
中心が締まった、センターをとれる身体を作ることができるのです。バレエの美しいポーズや動きは、
脚を外旋させたうえで行うことで初めて可能になります。また同時に、これは「外に開かれた」という
身体表現としての象徴的意味合いも含んでいるといえます。「turn out」することで、バレエダンサーは
彼ら特有の輝きを得ることができるのです。